旅芸人の記録

(1974年 ギリシャ
テオ・アンゲロプロス監督。これはある旅芸人の一座が、ギリシャを、1939年から1952年という時代の歴史を旅する、神話・演劇・歴史が一体となった叙事詩大作です。実はこのDVDを購入したのは2年前ながら、なかなかみるタイミングがなく本日ようやくみることができました(それは3時間半という時間の確保と同時にアンゲロプロスを見る為の「心の準備」が必要であったからです・・)。実際ギリシャの近・現代史に詳しくないと難しい部分もあるのですが、やはりロングカットでの美しいばかりの緊張感には、惹きこまれ圧倒されます。そこには他に「巨匠」と呼ばれるタルコフスキー、ベルトリッチ、ベイルマン等々の監督とはまた違った魅力があります。特に冒頭とラスト、の美しさは印象的です。

「52年の秋、私たちはエギオンに来た。二日間眠っていなかった・・・。」

@ちなみに今まで見たアンゲロプロスの作品を思い出した順に。
永遠と一日」(少年と老人の話) 
アレキサンダー大王」(演劇的な作品。構成も抜群)
霧の中の風景」(幼い兄弟が両親を探しに旅に・・・)
ユリシーズの瞳」(映像の美しさだけでも満足)        
どれも傑作ですが、全て3時間以上なので「一気に見る」のがポイントです。

以前アンゲロプロス村上龍との対談で「映画をつくる上で一番大切なものは何か?」という質問に対し、「考え抜くこと」と答えたようです(当然「脚本」という答えを予測していた村上はこれを聞いて涙がでたそうです)。

4年かけて、考え抜かれた作品。また数年後に見たくなりそうです・・・。