何も起こらない不安

 幽霊たち P・オースター著
私立探偵ブルーはブラックを見張るよう、依頼を受ける。向かいの部屋で見張りを続けるブルーだが、数週間、数ヶ月経ってもブラックの日常には何の変化もない。次第に、空想の世界に彷徨い、不安と焦燥と疑惑に駆られていくブルー。何も起こらないことが、自身を思考の渦に巻き込こんでいくのだが・・・。個人的にはそれでも結局「何も変わらない」カフカの「穴巣」の迫力に比べたら物足りないが、薄い文庫本で1〜2時間で読めるので気分転換には丁度よい感じの一冊。