根拠はないが

最近珍しく仕事で考える、というか悩んでいるというか。そうなると出来ていたはずのものへの自信が揺らいだり悪循環に陥るものだ。勿論いつもは「仕事は仕事」ということで、基本その内部で処理はできるのではあるが、それがほんとはどう生きたいのか、そもそもどうすべきなのかという自身の根源的な考え、12歳からの未解決問題(笑)に絡んでくるとなかなか厄介なものだ。








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溝口健二雨月物語」のワンシーン。京マチ子演じる幽霊のもとに通うにつれ徐々に破滅に向かう旦那。その行きすがら霊能師みたいなおっさん(「妖怪ハンター」と呼んでいる)が偶然すれ違う旦那の姿をみて一言「おぬし死相が出ておる」といったシーンがある。なぜかこのシーンが好きで、別にその「妖怪ハンター」はその場面のみの登場なのだが映画の中で、なぜか大きなインパクトというかスパイスを与えているのだ。






本日こりき(嫁)が職場帰りにお客さんに呼び止められたらしい。その人(A氏、とする)いわく「いろいろ『みえる』から伝えたい」とのこと。といっても「変な人」ではなくごく普通のサラリーマンのおじさんで、「あなたには『守護神』がついている」「大きい困難もよけてくれる」云々。まあ、いわゆるよくある「占い」だったら「そんなの誰にも当てはまるだろ」、とたいして興味も持たなかったのだが、このA氏の話は当てはまるどころか先日まさに自分がこりきに行っていた内容と驚くほどポイントが一致していたのである。具体的には・・・「あなたの『がんばる』は旦那さんにストレスになる場合がある」「結構旦那さんは繊細だ(あなたとは逆で)」(笑)等々。まあ、これくらいならなるほどなーくらいで聞いていたのだが、こりきが次の質問をした時・・・





こりき「旦那が最近仕事で悩んでるというか頑張っているというか、なんですけどどうですかね〜」





A氏「うーん。大丈夫、うまくいくよ」







言葉自体はシンプルだし、しかも自分が直接聞いたわけでもないのにそのニュアンスが妙に伝わった気がした。「大丈夫ですって!」のような励まし感というより(自分でいうのもなんだが基本的に「励まし」の効果が薄い偏屈なタチだ)、「川の流れの一部に過ぎないだけじゃん」といったフラット感で、妙にそれで気持ちが軽くなった気がした。なので「よし、頑張ろう」というより「ああ、ダメでもいいや」と思えたのだ。勿論そのA氏の言葉に根拠はなく、「妖怪ハンター」とかわりはない。ただ根拠がないからこそ響く言葉のタイミングというのもある。なにごとも「根拠」なんてないのだから・・・。