中世のマンガ?

前々から行きたかった根津美術館(南青山)に今日行ってきた。その雑感。
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/collection.html
「名刀コレクション」の企画展示も良かったが、最も気に入って見ていたのは、御伽草子絵巻シリーズ。今回3点の話の展示。なかでも「蛙草紙絵巻」は面白かった。



〜あらすじ〜(記憶の範囲で)
・ある貧しい男。村の長者の家の庭を眺めている。その庭には何頭かの牛がいるのだが、庭に欲してあった「布」を食べ始めてしまう。そしてそれを目撃する男。

・しばらくして、長者の家の召使いたちにより「布」の紛失が騒ぎになる。当然犯人の詮索が始まる。そこで男が登場。「わしは鼻が効くのだ。布は牛の中だ」と言うとそのとおり牛から「布」が取り出され、男は一躍脚光を浴びる。

・そこでそれを知った長者の主人からの相談が入る。「うちの娘が病気なのだが、どうにかならないか」。

・するとその後、男に「蛙」が御告にくる。内容は「私はこの家の下に埋められている。助けてくれ」

・それをもとに男は家の畳の下を掘り出すよう助言。するとなんとそこから大きな蛙が掘り出され、娘の病気は快癒する。

・その褒美として男は娘の婿になる。めでたし、めでたし。




なぜ牛が「布」を食べるのか?なぜ「蛙」が埋められていたのかなどの疑問は、ここでは問われず「事柄」のみがテンポよく進んでいくのが面白い。絵巻物だから「文章→絵」の順で進んでいるので、「ページをめくる」ことなく時々戻りながらも一気に見れるのもいい。他の2作品も、復讐あり、殺人あり、なのだが不思議と明るく滑稽であり、でも生活の雰囲気が感じられる身近さがある。


これらの作品、室町時代のものだが神話的に現実と遊離しすぎず、かつ政治的な背景も感じられず、といった自由な感じはこの時代の特徴なのかな、とも思った。


他にも古田織部のおもしろデザインの茶碗とか、イギリスの豪華な置時計とか、いろいろ。あと、隈研吾の美術館建築も明るく軽い感じが印象的。サントリー美術館はいまいちだったけど、ここは馬頭町広重美術館(栃木)の次くらいに好き。庭もかなり広いので子供がいても遊べそうだ(ただし池に落ちそうだが)。
*表参道から徒歩10分くらいの位置