モニュメンタル・ツリー

本日開業したスカイツリー。遊びで混む場所に行くのは苦手なので、いっそそれをメリットに感じる商売側にまわってしまえ、ということで横の商業施設に訳あって今日だけ働きに行ってきた。





個人的にスカイツリーになぜ特別感を感じるのかを説明するのは難しい。例えば六本木ヒルズのようなコルビジェ的「思想」があるわけでもなく、単なる塔と箱型商業施設。だが、「単なる塔」だからこそ他にはない魅力があるかもしれない。






東京スカイツリーライン」。一瞬新しいモノレールでもできたのかと思ったが、なんのこっちゃない、いつもの東武(下町)線。この浅草から業平橋(現スカイツリー駅)・東向島・鐘ヶ淵・堀切・牛田・北千住までの路線は都内屈指の下町ライン。その高架線の車内から広がる低層建築地域、住宅・学校。さらに途中下車して散策すればこじんまりとした商店街や町工場の多さに驚く。そこは浅草や柴又のような観光地もない、生活の匂いと記憶を感じる下町、いや裏町と呼ぶ方がふさわしい。勿論スカイツリーの麓も新しいそれとは対照的に半ば落ち着かない感じで古くからの押上商店街が存在する。







そこに「タワー」ができた。それはこの地域のどこからでもみえる「塔」であり象徴となる。これは高層都市なら埋もれ、地方都市なら浮いてしまうだろう。だから「世界一」かどうかはどうでもいい。「地域一」なら良いのだ。その「地域の建築」という感覚は、一言でいうなら「昭和」だ。映画「三丁目の夕日」みたいな。そして最後の昭和、とも思う。











そしてこの塔に地域に、多くの人が集まる。現実にはピンポイントでバスで来たり地下鉄を使うことが多いから街にひろがるかどうかはわからない。それでも「地域」に人は来る。その「世界一」を目指してきた人の一部はそこで「ほぼ注目度ゼロ」だった地域を感じるかもしれない。そしてそのわびさびやスタイリッシュではなく豆腐のべったりしたような「重層都市TOKYO」を感じるのは案外個人の外国人旅行者だったりするかもしれない。
*「誰も登れない塔」だったらかっこいいのに。無理だけど。







*くつろぐおっさんシリーズ:宅配ピザうまいわ〜。