利休にたずねよ 山本兼一 PHP研究所

だいたい本は普段、数冊並行読みする上に何かと読み返すものもあるから一冊読むのには結構時間がかかる。そんな中約400ページのこの本を5時間で一気に読んだのは、それが借り物であったというだけでなくそのテンポにハマったからだ。

題名からして何か茶道を題材にした美の指南書的なものかと思っていたらそうではなく、利休を中心に渦巻く様々な人間の世界観が描かれている。利休VS秀吉の捉え方も一般とは異なる。また話は利休・秀吉のみならず細川忠興黒田官兵衛などのおなじみの武将に加え、商人、僧侶、そして利休を取り巻く女性などの視点から語られているのだが、それも時系列ではなく微妙に散らされていてその読み切りだが繋がっている展開は新鮮。こういうのを大河ドラマにしたら面白そうだが。