震災直後の倒壊した街の中に住み始めたころは、思えば逆に実感はなかったと思う。10年後、建物は復旧してきたが風景が壊れたままの街。そしてその5年後の現在、出来事が風化するということ自体が風化してしまうことへの危機感。友人知人から聞いた当時の話(といっても皆多くは語っていないはずだが)は、東京に戻った今でも忘れることはない。直接的な被害も勿論だが、最も怖いのは無秩序の中の人間だ。