日本の美・発見IV 屏風の世界 ―その変遷と展開―

出光美術館
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html

屏風というと何か美しい草花があって「立派な」イメージがあった程度だが、この展示では「南蛮屏風」(パンフレット表紙)のように人物の描写が多く、時代の幅も広くてヴォリュームがありなかなか興味深かった。


まずその描き方が独特だ。「源氏物語」でも「江戸名所図屏風」でもこのような風景が全体として俯瞰されているにも関わらず人物や建物は正面から見ているように描かれている。それでいて違和感がない。また、題材が「大阪夏の陣」のように戦火の悲劇的な状況のものであってもどこか滑稽に描かれている。そして個々の人物の表情や行動が細かいのでみていて飽きない。その伝わり方はまるで一枚の大きな漫画のようだ。


で、一番面白いのはそれが「屏風」というフォーマットであるという点だ。「額」に入った絵画とは違い、屏風とは基本ついたて、いわば「壁の代用」のような存在だからその「壁の落書き」的なものが起源だったのかな、とも思ってしまう(実際のところはわからないが)。そういう気持ちで見ると見え方も変わってくる。


現在私は5人家族だが、将来「○LDK」の間取りに住むより広いワンルームにちょっとした「びょうぶ」で適当に仕切りを作って暮らせたら面白いなとも思う。そのときその「壁」に面白い絵があったらちょっとだけ豊かな空間になりそうだ。


そもそもそういう家庭用屏風って売ってるのかな???