「越谷レイクタウンを斬る!」

先日家族で埼玉有数の大型商業施設、「越谷レイクタウン」にでかけてみた。以下はその時の感想をインタビュー形式でまとめたもの。
(インタビュアーは「ー」、sokulatesuは「s」にて省略)。







―本日はお忙しい中、雑誌「未来世紀さいたま」の取材に応じて頂きありがとうございます。
s:いえいえ。
―今回は「商業施設特集『越谷レイクタウンを斬る!』」といことですが、sさんが行かれたのは初めてなんですよね?
s:そうですね。先週の日曜の午後、急に家族で行ってみようか、ということで。
―まず、全体的な感想をお聞かせください。
s:まあ、可もなく不可もなく、といった感じでしょうか。
―というと?
s:まあ、普通ということです。
―それでは話が終わってしまいますので、もう少し具体的にお願いします。







s:ではハード、ソフト面でお話していきましょう。
―ありがとうございます。では、そのハード面、建築の面からいうといかがですか?あそこは22万㎡という巨大な敷地ですよね。最近多い巨大商業施設の中でも突出してます。そこにkaze、moriという2つのエリアが東西に続いているんですよね。
s:そうですね。でもやはり広すぎますね。
―やはり「コンパクト」であるべき、だと。
s:いや、そういうわけじゃないんですよ。広いなりの工夫が欲しいなと。
―といいますと?
s:確か端から端まで歩くのに30分かかるんですよね。建物自体は3層で中央が吹き抜け、また2階レベルからスタートしているんで、それほど閉塞感はありません。また、そのkaze、moriのつなぎの通路部分では両サイドがガラスで見晴らしも良くなってます。まあ、悪くはないんですけど、単調というか・・・。当然大量のテナントが入っているわけですが、あれでは本来多様な店を楽しむはずなのに、途中から全体を把握することにエネルギーが注がれて結局疲れてしまうんですよね。
―ではもう少し空間に工夫が欲しい、と。
s:少しどころじゃないですけど。例えばまずあの規模の建築で思いつくのは空港です。なので空へのイメージという意味では上部への眺めが欲しい。自然光を入れるべきですよね。最近の例なら羽田空港第二ターミナルみたいな。さらに言うと周辺環境も凄いんですよ。
―:空港のように見晴らしがいいですよね。
s:そんないいもんじゃないですけど。大きな河川や関東平野に広がる荒涼とした住宅地、さらにだだっぴろい駐車場とか、そこには都内にはないダイナミズムはあります。
―:外にでられるデッキもありますよね。
s:たぶんあったと思いますが狭いというか、とってつけたような感じで、「一時避難所」みたいな・・・。
―:要は広く外部を感じさせる「窓」があった方がいい、ということですね。
s:まあ、そうですね。でもそれはあくまでも一部ですね。
―:他にもあるんですね。
s:そうです。あくまでそれは最低条件、というか。











―:ではsさんのさらなる構想をお聞かせください。
s:まあ、白紙からというよりある程度ディベロッパーの意向に沿ってお話しましょう。
―:「意向」というととりあえず「レイクタウン」という名前からですかね。
s:ですね。日本語に訳すと「湖街」。まあ、訳す必要もないですが。とりあえずそこに本気であることを示してほしいですね。
―:まさか本当に湖を・・・
s:その通りです。
―:建物から広い湖を見渡せる・・・
s:違います。建物の中央に作るんです。
―:といいますと?
s:そのkaze、moriの中央部分に、まあ50メートルプールくらいの人口湖を作るんですよ。
―:それでは導線が遮断されてしまいませんか?
s:そこは船で渡るんです。そして船頭つきの。勿論ベビーカー族からクレームも予測して両サイドに普通に渡れる通路も設置します。
―:なるほど。「レイクタウンの渡し」というわけですね。
s:それには目に見えない、いわば潜在的な機能もあります。
―:それはなんですか?
s:中央に大きな湖があることによって、建物全体に「こっち側」と「あっち側」が発生するわけですよ。
―:もうちょっとわかりやすく説明していただけませんか?
s:先述したとおり、今はなまじ機能的で全部まわれるので途中で帰る「きっかけ」がないんですよね。だから疲れる。で、もうしばらくは行かないぞ、となる。特に家族連れのお父さんは間違いなくそう思います。でも途中に湖(といってもフェイクですが)があれば、「こっち側」で楽しめるし、じゃあ今度来た時に「あっち側」いこうか、ということになると思うんですよね。
―:リピーター客になるということですね。
s:そうです。リピーターということでいえばテナントの配置も要再考ですね。まあ、メインストリートは看板店舗が並んでいいとして、その外側のサイドストリートにはもう少し対象を絞った店舗があってもいいですね。
―:こだわりの店舗、ですか。
s:そんな、おしゃれじゃなくてもいいんです。
―:例えば、あの鉄道模型の店のような、ですか?
s:あの秋葉出身の店はいいと思いますよ。ただ、ここは低年齢も対象にしているせいかプラレールとかも置いてるから、ただ「たくさんおいてある」店なんですよね。あれではあの濃密度の秋葉店舗の客層がわざわざ「埼玉」まで来る理由がない。広さに甘えているんですよ。そもそもNゲージとプラレールは似て非なるものなんですよ。だから客層を絞りきれていない。
―:まあ。「ちいさな子供が楽しめる」というのが、この施設の特徴でも・・・。
s:勿論それは否定しません。ただ、それを免罪符にして空間づくりが中途半端になってはいけませんね。とうぜん「子供」だけで「レイクタウン」に来るわけではないのですから。
―:大人も楽しめるのも大事ですね。
s:そうです。そこは「サイドストリート」の奥に「路地」を作るんです。
―:路地、ですか。飲み屋があるみたいな。
s:イメージとしては「ニュー新橋ビル」「中野ブロードウェイ2・3階」「大阪第1〜4ビル」「歌舞伎町ゴールデン街」・・・。
―:それって子供はいけませんよね。
s:そうです。むしろ「行ってはいけない」。さらに言えば「大きくなったら行っていいよ」という場所にするんです。そうすることによって親から子へ語り継がれる存在になっていく訳ですよ。











―:なんか、本当の街みたいですね。
s:だってレイク「タウン」でしょう。なのでさらにいえば住宅もつける。表参道ヒルズみたいに、建物の上部に。見晴らしもいいですし、駅直結、階段を降りたら街、分譲にしたら即日完売でしょう。「どこすんでんの?」「レイクタウンだよ」みたいな。
―:イメージはふくらみますね。
s:イメージでいえば駅名から「越谷」は外した方がいいですね。確かに埼玉の中で越谷が大きめの街であることは認めますが、東京都民ましてや地方の人からみたら埼玉は埼玉なんです。秩父も越谷も変わらないのです。なので「レイクタウン」という場所をイメージ化することが大事です。Dディズニーランドが千葉にあることが分かりにくいように。そうしないと都内や地方の層を「わざわざ」引き込むことはできません。
―:なるほど。次にソフト面(サービスその他)についてお伺いしたいところですが時間が来てしましました。
s:そうですか。まあ、きりがないですからね。
―:今日はありがとうございました。次回は「西新井、東京マリンの廃業の謎に迫る!」でお会いしましょう。
s:ありがとうございました。



おわり(お付き合いありがとうございました)